日記 山の中で

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コカの葉をガソリンで浸す

元FARC(コロンビア革命軍)の兵士と会った。
現在20代半ばの彼は11歳のときに入隊し、3年間戦闘員となって活動していた。

入隊前、彼は町から遠く離れた山奥の集落に暮らしていた。ある日、ゲリラ部隊が集落にやってきて、住民に社会情勢を説いた。いかに社会に不正がはびこり、農村が搾取されているか。そんな話しだった。彼はその話しに耳を傾けながら、明快に話しを進める女性兵士に夢中になった。色が白い北部出身の女性だった。「もうさ、一目惚れしちゃってさ」。集落を去る部隊に彼はそのままくっついていった。それが彼の入隊した動機。
部隊には10代の兵士も少なくなかった。それぞれ、銃に興味を持ったもの、政治的な思想に惹かれたもの、家庭に居場所を失ったものなど様々な理由でそこにいたという。

除隊した理由は、部隊長を始め、戦闘で部隊にいた大部分の仲間が死んでしまったからだという。
彼が惹かれた女性兵士も戦闘で死んだ。残ったわずかな兵士で「もう家に帰ろう」そう話し合って山を降りたのだそうだ。政府に投降はしていない。

彼は今、小さな田舎町で妻と二人の娘と暮らす。山には妻の実家の土地があり、そこで1ヘクタールほどの畑にコカを栽培し収入を得ている。おそらく、どこにでもいるコロンビアの農民の姿だ。FARCが武器を置くことに付いては「もう戦争はたくさんだよ」と話す。

ただ、彼が作るコカの販売先を辿ると、右派民兵に行き着くという。現在FARCが持つルートも、もし彼らがいなくなれば民兵か、他のグループがそこに収まるのではと話す。結局、戦争は終わらないの?そう聞くと、「わからない。でも、ここにはこれ以外に収入を得る手段なんか何もない。親父の世代はこれすらもなくて、本当に大変だったんだ。」淡々と語る彼の語気が少しだけあがった。

彼の幼いとき、父につれられて町に買い物に行った。馬に乗って何時間もかけて。山に暮らす彼らは長靴しか持っていないかった。泥だらけの長靴に汗臭い服。店によっては入店を断る所もあった。そんな記憶が彼には残っている。彼は口にしなかったが、そのとき彼は傷ついたんじゃないかと僕は思った。悔しかったのかもしれない。

多分、こういった記憶の積み重ねが、この社会の色々な場面に繋がっているように思える。





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