コロンビア先住民族-1

まだ自宅にネットが開通してないので、ネット屋でカタカタしてます。しかし寒くなってきたなぁ。ここ何日かは天気もよくてキリリとした空気とカラリとした日差しが最高です。

ラテンアメリカ協力ネットワークというところが発行するニュースペーパーの9月、11月号にコロンビアの記事が使われました。多くの方に読んでもらえたらと思いブログのほうにも転載したいと思います。
紙面では、パージ数の関係などで多少カットされていますが、こちらには原文のまま載せたいと思います。

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コロンビア先住民族


 南米大陸の北西に位置するコロンビアはコーヒーの産地としてよく知られている。しかし、地球の縮図といえるような地形、気候、民族の多様性を持つということはあまり伝えられていない。
 日本の約三倍にあたる十一万三千九百平方キロメートルの国土は、太平洋岸、カリブ海岸、南北を貫く三本のアンデス山脈、アマゾン地方、オリノコ地方と大きく分けて五つの自然区分に分けられる。それぞれの地域は、熱帯のジャングルや草原地帯、万年雪が覆う五千メートル級の山々と実に彩りが豊かだ。そして、その多様な自然環境に適応しながら咲き誇る花々のように、各地に先住民族が生活を営んでいる。
 コロンビアには現在八十を超える先住民族が生活をしている。全人口に占めるその割合はおよそ一パーセントといわれる。しかし、コロンビア南部のカウカ県では、県内で生活する先住民族の合計が県民全体の二〇パーセント以上を占めている。彼らのほとんどは、県内の大部分であるアンデス山脈内のコミュニティーで農業を中心とした生活を送っている。


1・先住民族コミュニティー
 
 二〇〇六年一二月、県内北部のハンバロというナサ族のコミュニティーを訪ねた。先住民族として活発な活動をしているという情報を頼りに、ハンバロ行きのピックアップトラックの荷台に乗り込む。乗り合わせた人に泊まる場所について聞くと「宿なんてないぞ」という答えが返ってくる。山奥へと続く未補足の道路を揺られながら、何のつても持たずにきたことに不安がよぎる。
 三時間近く走ってようやくハンバロに到着する。さてどうしようかと考えていると、同乗していた夫婦が私の荷物の一つを持ち、「付いて来い」と先を歩いてゆく。そのまま彼らの自宅に通された。一室に私の荷物を置くと、「この村に来た日本人は初めてだし、生で見るのも初めてだ。ここのことを知りたいのなら、この部屋に寝泊りをしてやったらいい」と言う。思いもよらない展開に驚いてしまった。しかし、こんなにありがたいことはない。その言葉に甘えさせてもらった。それからこの家を拠点に、周辺の集落や村へと行くことになる。これが私とカウカでの先住民族との出会いだった。
 ハンバロで過ごした初めの一週間は、毎日違う家庭から食事に招待された。それは嬉しい反面、戸惑いもあった。しかし彼らののどかで温かな空気、他所者でも受け入れる懐の深さに引き込まれた。そして知れば知るほど、そこで暮らす人間同士の距離の近さ、絆の深さに心が揺れた。これが共同体という社会なのだろうか。
 あるコミュニティーで、その年一年をどのように運営していくかを話し合う会議が開かれた。三日間にわたって、教育、経済、医療等さまざまなことが話し合われ、コミュニティー全体からも多くの人たちが集まった。学校は休みになり、子供達もノートを手に一生懸命話合われている内容を書き込んでいる。一つのコミュニティーでも標高三千メートル以上から千五百メートル以下まで広がっている。道の悪いところが多く、車を使っても端から端まで七,八時間を要する。その日会議が開かれた場所へは日帰りできない人がほとんどだった。そのようなときは、会場となる地区の住民が訪れた人たちに炊き出しを行い、自宅の空き部屋や学校の教室を寝起きする場所として提供する。もちろん費用は取らない。これ以外でも祭りなどのイベントがあるときには、同様に会場の地区の住民が訪れる人たちをもてなす。コミュニティーが一体となって「おらが村」を作っているようだった。
 また別の場面では、ある男性が山道をバイクで走行中、事故で大怪我を負い、そこから丸一日かかる都市の病院へ運ばれた。しかし、ただでさえ高い治療費を払わなければならず入院費まで賄うことができない。その時、病院のある都市に住む同じ村出身の人が男性に部屋を貸してくれた。コミュニティーを離れて生活する人も多いが同郷人同士のつながりは切れていない。その後、怪我の状態が良くなり通院の期間がひらいてからは、病院のある都市の隣町に暮らす彼の娘のアパートに移った。私も何度か見舞に訪ねたが、いつも同郷のお客さんと明るく談笑する姿が見られた。
 普段の生活の中でもちょっと誰かの家を訪ねるとコーヒーとパンが出てきて、ついつい長居してしまう。誰もがフラリと他所の家を訪ねていける雰囲気がある。

 人と人との結びつきの強さが彼らの社会の基本にある。その社会は、彼らの長い歴史の中で生活の中心となっている農業からおこった。農業を中心とした生活の中で、自然・大地との付き合い方、人間関係、文化、価値観、社会が生まれた。自然は彼らにとって切り離すことができないものだ。空から降った雨が大地に降り注ぎ、その水によってあらゆる生命が生かされる。大地に育った動植物を食すことで人間は生きることができる。全ては繋がり人間もその一部でしかない。

 先住民族と自然との繋がりを薬草から見ることができる。薬草に対する彼らの知識は非常に豊かだ。薬草は山に自生しているし家庭でも栽培されている。今、世界中で使われている薬の多くは、ヨーロッパ人が新大陸(アメリカ大陸)から持ち帰った先住民族が使用していた薬草の知識が基になっているという。神官でもある伝統的な医師は、コカの葉を噛み自然に祈りを捧げながら患者の症状に合わせた薬草を処方する。コカは彼らの精神にとって最も重要な植物のひとつだ。
 ナサ族コミュニティーでは、薬草について学校で実際に栽培しながら子供たちに教えている。また、次第に消えつつある彼ら独自の言語を民話を用いて教える授業が設けられている。
 先住民族のコミュニティーでは学校の授業の中で、それぞれの独自の文化、価値観を子供たちに伝えている地域がある。
 アンバロ族のコミュニティーでは、政府から与えられる歴史教育のカリキュラムを拒否し彼らの目線から見た歴史教育を行っている。
 教育現場でのこうした努力も、民族の文化やアイデンティティーを守り、社会を支える基となっている言える。

 今では山間部においても殆どの人が携帯電話を持っている。各家庭にはテレビやDVDプレイヤーがあり、少し大きな村に行けばどこかに必ずインターネットに接する環境がある。あらゆる情報がほぼ都市と変わることなく入ってくる。それでも彼らは自らの伝統を持ち続け、価値観を大切にし日々の生活を送っている。出会った人達は、自分たちが先住民族であるということに強い誇りを持っていた。

 人と人、人と自然との豊かな関係、自身に対する誇り、これらが強く鮮やかに私の心に焼き付いている。

                                                          ~つづく














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