いくおさんとの夏
- Day:2023.03.27 00:44
- Cat:茨城
いくおさんとの夏
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2020年の夏、新型コロナウィルスの話題で世間が持ちきりだったころ、僕は茨城県北部の山にいた。関東平野の北端から立ち上がるその山からは、「秋晴れの朝は、富士山が見える」というほど広い平野を見渡すことができる。夜になると、人気のない山は漆黒の闇につつまれる。その闇の先には、地平線上にきらめく街の明かりが見える。
この夏、僕はこの山のある集落で、「いくおさん」という88歳の男性と過ごしていた。いくおさんは5年前に妻が先立ち、集落にある広々とした自宅に一人で暮らしている。子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、県内各地で生活している。僕はここから90キロほど離れた県内の自宅より6月から通いはじめ、8月は月の半分ほどをいくおさんの自宅に泊めてもらっていた。
きっかけは
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2020年の夏、新型コロナウィルスの話題で世間が持ちきりだったころ、僕は茨城県北部の山にいた。関東平野の北端から立ち上がるその山からは、「秋晴れの朝は、富士山が見える」というほど広い平野を見渡すことができる。夜になると、人気のない山は漆黒の闇につつまれる。その闇の先には、地平線上にきらめく街の明かりが見える。
この夏、僕はこの山のある集落で、「いくおさん」という88歳の男性と過ごしていた。いくおさんは5年前に妻が先立ち、集落にある広々とした自宅に一人で暮らしている。子どもたちはそれぞれ家庭を持ち、県内各地で生活している。僕はここから90キロほど離れた県内の自宅より6月から通いはじめ、8月は月の半分ほどをいくおさんの自宅に泊めてもらっていた。
きっかけは
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